小児緩和ケアについて
小児緩和ケアとは
「小児緩和ケア」という″ことば″から、みなさんはどんなことをイメージされますか。
もしかすると、″治癒が望めない子どものためのケア″ ″亡くなりゆく子どものためのケア″ など、死が差し迫っているときだけに提供される特別なケアと思われる方がいるかもしれません。
「小児緩和ケア」とは、生命が脅かされる状況にある子どもと家族が、どこにいても、どんなときも、その子らしく、その家族らしく「生きる」ことを支えることです。子どもは、病気や障害があっても、また、入院したり、治療を受けたりしていても、毎日の生活や家族、友達や社会との関わりの中で、たくさんのことを感じ、経験し、成長・発達しています。同時に、子どもは、病気や障害、その治療などに伴う身体的な苦痛、不安や怖さ、さみしさや孤独感のような心理・社会的な苦痛、ときには″こたえ″のない問いのようなスピリチュアルな苦痛を経験しているかもしれません。だからこそ、小児緩和ケアは、診断を受けたときから、子どもの成長・発達、病の軌跡を通してきれ目なく届けられるものでなくてはなりません。そして、小児緩和ケアは、生命が脅かされる状況にある子どもだけでなく、苦痛を経験する全ての子どもに提供されるべきケアでもあります。また、子どもだけでなくその家族の身体的苦痛、心理・社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛を予防し、和らげることも小児緩和ケアとして大切なことです。
生命が脅かされる状況にある子どもが生活する場所は、病院や施設だけではありません。最近では、多くの子どもが、お家で暮らし、住み慣れた地域の保育園、学校に通っています。小児緩和ケアは、大きな医療機関や設備の整った施設のなかだけで提供されるものではなく、地域の病院でも、お家でも、子どもの生活するあらゆる場所に届かなければ、本当の意味での子どもの幸せにはつながりません。
このサイトが、一人ひとりの子どもが、どこにいても、どんなときも、その子らしく「生きる」こと、その家族もその家族らしく「生きる」ことを支える小児緩和ケアについて、考え、語り合い、情報共有できる仲間がつながる場となることを願っています。